セカンドキャリアの向こう側

50歳から第二のキャリア探索の旅に出ました。いまだ迷走中。ライブドアブログから引っ越してきました。

セカンドキャリアの軌跡:個人事業主としての3年半を振り返る

2020年7月に開業届を提出してから、この夏で3年が経過した。新型コロナの関係で実質的な働き方は2020年1月からほぼリモートワーク化していたので、実感としてはもうすぐ4年になる。振り返ってみれば様々な学びと葛藤に満ちた期間であった。今年1月にはクライアントに初めて契約終了の希望を伝え、それからずるずると今に至っている。あと3か月、12月末で表舞台から撤退し、1月以降は引き継ぎや残務整理に集中し、完了次第完全撤退の意思に変わりはない。

今の職場はアルバイト時代を含めると年末でちょうど5年になる。毎年多くの社員が去っていくような環境にもかかわらず5年も続いたのだから、我ながらよく頑張ったものだと思う。しかし、もうクタクタのヘトヘトに疲れた。肉体的にも精神的にも限界が来ていることを最近は強く感じるのである。

個人事業主といっても結局は1社との独占契約なので、頑張れば頑張るほど自分の単価を下げる結果となることを痛感した。先方は雇用も業務委託も関係なく仕事をざくざく処理して貰えればOKということで、結果的に残業代も社保も発生しない固定人件費の人材、高度雑用の下請け先、都合のいい女になってしまい、私もそれに対して対策を行ってこなかったことが最大の原因だと思っている。無言の抵抗として、時間単価を下げる原因になる内部調整用のミーティングには極力参加しなかったし、コロナ明けで全員がオフィスに出勤するようになっても、私は社員ではないからスルーした。交通費の支給がないことに加え、外出の準備や通勤にかける時間・外出先でのランチのために、換算すれば合計1.5~2万円/日程度のコストが発生する。週に1回の出勤としても最大8万円/月の利益減だ。当然だがオフィスでは自分のデスクやロッカーは供与されていないため、毎回PCに加え関連書類やマグカップ、歯磨き道具など一式を運搬せねばならず、重すぎるので旅行用のキャリーケースを買うことが必要になった。そんなにまでして出かけても、オフィスでできることはミーティングや書類の整理程度であって、本業である知的生産的業務はほぼできない環境なのである。様々な理由により物理的な環境が整備されていないオフィスであるため、そのような開放的な場所で秘匿性の高い仕事を行うことに抵抗感が強く、在宅ワークのほうがむしろ合理的で安全であるとも思われる。

今までずっとこの組織における自分の役割は何なのかを模索し、課題分析と共に制度変更の提案などを意識的に行ってきた。しかしある時に気づいたのだ、この人たちは本当のところ変わろうなんて思っていないし、変わるにしても他人(まさに他人である委託先の私)からのアドバイスに従うなんてあり得ないということを。つまり、コンサルティングよりは大量の実務を整理し、合理化し、適切に配分でき、さらにその実務の殆どを処理してくれる人材を求めていた。すなわち必要なのは有能な管理職+有能なスタッフの機能なのである。しかもオーナーの価値観には絶対的に従うことが有能の第一条件。誰を参画させても結局既存の組織をそのまま拡大することが彼らのイメージする到達点なのだった。

振り返れば、この段階で私は撤退するべきだったのである。しかし私には過剰な自信があった。実務上等、実務の合理化は得意領域でもあったので、自分の役割をそこに持って行ってしまったのだ。そこに滑り込んだことでドツボにはまっていたのである。気づくと仕事量が倍増していた。そもそも実務がうまくいかない根本原因は彼らの仕事のやり方・コミュニケーションの取り方・価値観だった。私は夢中になって各実務を整理し、時にはツールを活用し、自分で調べ実装し、と繰り返しながら各種実務を構造化していった。彼らの苦手領域だったので、やりたいようにやらせてもらったことには感謝している。だが気付くと、誰も近くにはいなかった。ある正社員は私に仕事を奪われたと逆恨みしたのか、管理職に見えない場所で私に嫌がらせを行ったり陰口を吹聴し始めていたようだ。同じチームの他正社員は仕事への向き合い方も知識も全く異なり話が噛み合わなかったし、彼らのモチベに火が付くことは全くなかった。私の手元に残ったのは、彼ら正社員の手に負えない雑多な実務の山だけであったのである。しかも、私の知識・技術に合わせたレベルで構築していたので、誰にもそのまま引き継げない状況になっていたことを知った時の絶望と言ったら・・・。

ここに至って、私はついに悟ったのである。

  • このまま私がNoと言わなかったら、65歳になっても何一つ改善されない
  • 自分よりも低スキルの正社員からの下請け仕事が減るどころか増える一方である
  • 自分がいることで正社員の成長の機会(経験値の量)を奪うことになる
  • 若い世代から、よくわからないが口出しできない外部の人(感謝されるというより迷惑がられる文脈)として認識される

業務コンサルとして参加したつもりが、いつの間にか労働力として消費される。しかも、外資系の一流コンサル会社ならともかく、零細一個人事業主である。私だってそのくらいはわかっていた。だから、自分の残りの人生を消費されるのもここまでかな、との判断により契約終了を申し出たまでである。